晴と睛のおはなし

漢字の読み書きでミスすると、世間の物笑いになる。他人か注意してくれない以上、自分で自分のミスを発見し、あやまりを正していかねばならぬ。いわば自助努力による自己救済である。

一つ、おもしろい例をあげてみよう。

「キミ、これはガリュウテンセイを欠くよ」上役が批判したとする。正しくは、画竜すなわち絵に描いた竜で、ガリョウと読むか、ガリュウが一般に定着しているのはご承知の通り。

問題は、テンセイを漢字でどう書くか。ほとんどの人は、「画竜点晴」と書いてしまう。セイを、晴(はれ)と勘
違いしているのだ。天気が晴れるわけではなく、ここは、睛(ひとみ)が正しい。ヘンは、日でなく目である。

上役だって、口では正しく発音するくせに、漢字を書く段になると、テンセイを点晴と書き間違えるかもしれぬ。なかには、天晴もあるはずだ。これらは、要注意です。晴ではなく、絶対に睛なのだ。

睛と書くべき理由は何かといえば、画竜点睛の意味が示している。これは、竜を描いて最後に睛を描きいれることから、物事のポイント、眼目、大切なところのたとえであって、天気か晴れるの晴という字を書いたら、まるで見当外れの失格となる。

— posted by mamezo at 11:09 pm